おこのみっくす編集部ライターによるラリー対象メニューの実食レポートを掲載中です♪
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新井薬師で「カレーなる真夏日(3D編)」を堪能する
カレー&冷やっこ〜い編@ダカインドレストラン&バー
今年の初め頃だったか、スコット・フィッツジェラルドの小説「グレート・ギャツビー」がまた映画化され、それが3D上映されると聞いた時には驚いたものだ(映画邦題「華麗なるギャツビー」)。
まだどこかの劇場で見られないかな、などと火照った頭で考えながら、目的地に辿り着く。
細い階段を上がってドアの前に立つと、ポスターの男がこっちを見ている。
(「お前、生きてるのか?」)
想像で台詞を言わせてみたが、返す言葉が出てこない。疲れているようだ。
最初のD(駄目)。
店に入り、7歩で窓際のテーブルへ。
バターチキンカレーがメインの「Cセット」と、デザートにインド風フルーツヨーグルトをオーダー。
セットのドリンクはマンゴーラッシーをチョイス。
しばらくして、インド半島を引き伸ばしたような三角の、巨大なナンが横たえられる。
ちぎって、オレンジ色のカレーに浸し、口に運ぶ。それを何度も繰り返す。
無意識のうちに、カレーとナンの残量を調整し、同時に食べ切るエンディングを準備していた。
数々の定食屋を渡り歩く間に体得した、おかず一口に対する絶妙なご飯の配分。これを大陸のメニューに応用した形だ。
すると……
「ナン、お代わりください」
背後のテーブルで女性が言い放った。実にすがすがしい。
負けた気がする。2つ目のD。
窓のほうに目をやると、隅に置かれた「サドンデスソース」が、辛党を挑発している。
ビンのラベルには、小さく「FEEL ALIVE!」の文字が。
(しまった、ポスターの男は、このソースの刺激で生き返れと言いたかったのか……)
カレーはもう、ナンの最後の一片できれいさっぱり取り去った後だ。フルーツヨーグルトがすでに運ばれてきている。チャイを追加でオーダーし、静かにため息をついた。
帰り際、ふと気になって後ろのテーブルを振り返ると、さっきの女性の姿がない。
茫然とした次の瞬間、身体に電気が走った。
テーブルの向こうの壁に貼られたポスターの中で、美しい乙女が自分に微笑みかけていた。慎ましく、観葉植物のヒトデカズラに隠れるようにして。
(「大丈夫よ」)
そう、言われたような気がした。
3つ目は、ダイジョウブのD。
バングラデシュ出身で、複数のインド人シェフをまとめているハサン・ジャビド店長としばし談笑。
気持ちよく店を出て、ポスターの男にジェスチャーであいさつしたが、「彼」はにこりともしなかった。(ライターH)